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etcdをv3.6からv3.7にアップグレード

etcdをv3.6からv3.7にアップグレードする手順、チェックリスト、注意事項

通常、etcd v3.6からv3.7へのアップグレードは、停止時間なしのローリングアップグレードで実行できます。

  • etcd v3.6のプロセスを1つずつ停止し、etcd v3.7のプロセスに置き換えます。
  • すべてのプロセスがv3.7で稼働すると、クラスターでv3.7の新機能を利用できます。

アップグレードを開始する 前に、このガイドの残りを読んで準備してください。

アップグレードのチェックリスト

3.6の更新

重要

3.7にアップグレードする前に、すべての3.6メンバーが3.6.11以降に更新されていることを確認してください。それより前の3.6パッチリリースは、3.7へのローリングアップグレードと互換性がない可能性があります。

V2ストア

v3.7ではv2ストアが完全に削除されました。v2 HTTP API(--enable-v2)、v2-on-v3エミュレーション(--experimental-enable-v2v3)、v2ディスカバリーサービス、client/v2パッケージ、v2スナップショットファイルの読み込みは、すべて削除されています。CHANGELOG-3.7 にある互換性を損なう変更の参照先を確認してください。

3.6クラスターからアップグレードする場合、これらのフラグはすでに存在せず、作業は不要です。カスタムv2データがある古いリリースから移行する場合は、アップグレード前にv2移行ガイド に従ってください。

Goのリファクタリング

v3.7には大規模な内部リファクタリングが含まれています。通常のアップグレードには影響しませんが、独自の連携機能をアップグレードする際には把握しておくと役立ちます。

  • gogo/protobufから標準のgoogle.golang.org/protobufへの移行(#14533 で追跡)。
  • 非推奨のgo-grpc-middleware v1のログおよびタグライブラリから、v2インターセプターへの移行(#20420 )。
  • OpenTelemetryのgRPCインターセプターをotelgrpc v0.61.0に更新し、非推奨のUnaryServerInterceptorとStreamServerInterceptorをNewServerHandlerに置き換えました(#20017 )。

etcdをライブラリとして組み込んでいる場合、clientv3 APIを使用してビルドしている場合、または内部パッケージに依存している場合は、アップグレード前にCHANGELOG を確認してください。

削除されたフラグ

v3.7では、非推奨の--experimental-*フラグがすべて削除されました(#19959 )。v3.6では、それぞれ同名の非実験的フラグ、または--feature-gatesのエントリーに置き換えられています。これらのフラグがまだ設定されている場合は、v3.7へのローリングアップグレードを行う前に、v3.6の対応する設定に置き換えてください。そうしないと、v3.7のプロセスは起動に失敗します。

-etcd --experimental-bootstrap-defrag-threshold-megabytes
-etcd --experimental-compact-hash-check-enabled
-etcd --experimental-compact-hash-check-time
-etcd --experimental-compaction-batch-limit
-etcd --experimental-compaction-sleep-interval
-etcd --experimental-corrupt-check-time
-etcd --experimental-distributed-tracing-address
-etcd --experimental-distributed-tracing-instance-id
-etcd --experimental-distributed-tracing-sampling-rate
-etcd --experimental-distributed-tracing-service-name
-etcd --experimental-downgrade-check-time
-etcd --experimental-enable-distributed-tracing
-etcd --experimental-enable-lease-checkpoint
-etcd --experimental-enable-lease-checkpoint-persist
-etcd --experimental-initial-corrupt-check
-etcd --experimental-memory-mlock
-etcd --experimental-peer-skip-client-san-verification
-etcd --experimental-snapshot-catchup-entries
-etcd --experimental-stop-grpc-service-on-defrag
-etcd --experimental-txn-mode-write-with-shared-buffer
-etcd --experimental-warning-apply-duration
-etcd --experimental-warning-unary-request-duration
-etcd --experimental-watch-progress-notify-interval

削除された各フラグと、対応する非実験的フラグまたは--feature-gatesのエントリーとの対応関係は、v3.5からv3.6へのアップグレードガイド を参照してください。

追加されたフラグ

ありません。

デフォルト値が変更されたフラグ

ありません。

サーバーアップグレードのチェックリスト

アップグレードの要件

既存のetcd環境をv3.7にアップグレードするには、稼働中のクラスターがv3.6.11以降でなければなりません。それより古いマイナーバージョンを使用している場合は、先にv3.6にアップグレード してください。etcdでサポートされるのは、マイナーバージョンを1つずつ上げるアップグレードだけです。

また、ローリングアップグレードを円滑に進めるには、稼働中のクラスターが正常でなければなりません。作業を進める前に、etcdctl endpoint healthコマンドでクラスターの正常性を確認してください。

準備

etcdをアップグレードする際は、必ず本番環境に適用する前に、etcdに依存するサービスをステージング環境でテストしてください。

作業を始める前に、スナップショットバックアップをダウンロード してください。アップグレードで問題が発生した場合は、このバックアップを使用して元のetcdバージョンにロールバック できます。

バージョンの混在

アップグレード中のetcdクラスターでは、異なるバージョンのetcdメンバーの混在がサポートされ、全メンバーに共通する最も低いバージョンのプロトコルで動作します。すべてのメンバーがバージョンv3.7にアップグレードされて初めて、クラスターのアップグレードが完了したと見なされます。内部では、etcdメンバーが相互にネゴシエーションを行ってクラスター全体のバージョンを決定し、そのバージョンによって報告されるバージョンとサポートされる機能が決まります。

ロールバック

etcdクラスターをアップグレードする前に、クラスターのスナップショットバックアップを作成してダウンロード してください。このスナップショットを使えば、必要に応じてクラスターをアップグレード前の状態にリストアできます。アップグレード中に問題が発生した場合は、まず根本原因を特定して解決することをお勧めします。少なくとも1つのメンバーがv3.6のままで、クラスターのバージョンがまだ混在している場合は、バイナリまたはイメージを以前のv3.6のものに置き換えるか、スナップショットを使用してクラスターを直接リストアできます。この混在状態ではクラスターはv3.6クラスターとして動作し続けるため、正式なダウングレード手順を踏まずにロールバックできます。

ただし、すべてのメンバーをv3.7にアップグレードすると、クラスターのアップグレードは完了したと見なされ、バイナリによるロールバックはできなくなります。その場合、アップグレードに問題があったときのリカバリー方法は、アップグレード前に取得したスナップショットからリストアするか、公式のダウングレードガイド に従うかのいずれかに限られます。

アップグレード手順

この例では、ローカルマシンで稼働する3メンバー構成のv3.6 etcdクラスターをアップグレードする方法を説明します。以下の出力は、1台のホスト上で3つのループバックポートを使用し、etcd v3.6.12とetcd v3.7.0-rc.0を実際に稼働させたときのものです。

手順1:アップグレード要件の確認

クラスターは正常で、v3.6.11以降で稼働していますか。

etcdctl --endpoints=localhost:2379,localhost:22379,localhost:32379 endpoint health
<<COMMENT
localhost:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 7.681459ms
localhost:22379 is healthy: successfully committed proposal: took = 7.691750ms
localhost:32379 is healthy: successfully committed proposal: took = 7.698000ms
COMMENT

curl http://localhost:2379/version
<<COMMENT
{"etcdserver":"3.6.12","etcdcluster":"3.6.0","storage":"3.6.0"}
COMMENT

手順2:リーダーからスナップショットバックアップをダウンロード

問題が発生した場合にダウングレードできるよう、スナップショットバックアップをダウンロード してください。

etcdのリーダーには最新のアプリケーションデータがあることが保証されているため、リーダーからスナップショットを取得します。

for p in 2379 22379 32379; do
  echo -n "localhost:$p leader="
  curl -sL http://localhost:$p/metrics | grep "^etcd_server_is_leader " | awk '{print $2}'
done
<<COMMENT
localhost:2379 leader=1
localhost:22379 leader=0
localhost:32379 leader=0
COMMENT

etcdctl --endpoints=localhost:2379 snapshot save backup.db
<<COMMENT
{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:41.863225+0300","caller":"snapshot/v3_snapshot.go:83","msg":"created temporary db file","path":"backup.db.part"}
{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:41.866451+0300","logger":"client","caller":"v3@v3.6.12/maintenance.go:236","msg":"opened snapshot stream; downloading"}
{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:41.874080+0300","caller":"snapshot/v3_snapshot.go:96","msg":"fetching snapshot","endpoint":"localhost:2379"}
{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:41.877203+0300","caller":"snapshot/v3_snapshot.go:111","msg":"fetched snapshot","endpoint":"localhost:2379","size":"98 kB","took":"13.822583ms","etcd-version":"3.6.0"}
{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:41.877303+0300","caller":"snapshot/v3_snapshot.go:121","msg":"saved","path":"backup.db"}
Snapshot saved at backup.db
Server version 3.6.0
COMMENT

手順3:既存のetcdサーバーを1つ停止

各etcdプロセスを停止すると、他のクラスターメンバーに想定どおりのエラーが記録されます。クラスターメンバーへの接続が(一時的に)切断されたためであり、正常な動作です。リーダーは終了前にリーダーシップを移譲します。

{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:54.949299+0300","caller":"etcdserver/server.go:1274","msg":"leadership transfer finished","local-member-id":"7339c4e5e833c029","old-leader-member-id":"7339c4e5e833c029","new-leader-member-id":"b548c2511513015","took":"101.052625ms"}
{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:54.949369+0300","caller":"etcdserver/server.go:2349","msg":"server has stopped; stopping cluster version's monitor"}
{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:55.503219+0300","caller":"embed/etcd.go:626","msg":"stopped serving peer traffic","address":"127.0.0.1:2380"}

手順4:同じ設定でetcdサーバーを再起動

同じ設定で、新しいetcdバイナリを使用してetcdサーバーを再起動します。

-etcd-old --name ${name} \
+etcd-new --name ${name} \
  --data-dir /path/to/${name}.etcd \
  --listen-client-urls http://localhost:2379 \
  --advertise-client-urls http://localhost:2379 \
  --listen-peer-urls http://localhost:2380 \
  --initial-advertise-peer-urls http://localhost:2380 \
  --initial-cluster s1=http://localhost:2380,s2=http://localhost:22380,s3=http://localhost:32380 \
  --initial-cluster-token tkn \
  --initial-cluster-state new

新しいv3.7のetcdは、自身の情報をクラスターに公開します。この時点では、クラスターは引き続き全メンバーに共通する最も低いバージョンであるv3.6のプロトコルで動作します。

{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:58.920780+0300","caller":"membership/cluster.go:296","msg":"set cluster version from store","cluster-version":"3.6"}

{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:01:58.979186+0300","caller":"etcdserver/server.go:1828","msg":"published local member to cluster through raft","local-member-id":"7339c4e5e833c029","local-member-attributes":"{Name:s1 ClientURLs:[http://localhost:2379]}","cluster-id":"7dee9ba76d59ed53","publish-timeout":"7s"}

新しいv3.7のetcdバイナリで、各メンバー、続いてクラスター全体が正常になることを確認してください。

etcdctl --endpoints=localhost:2379,localhost:22379,localhost:32379 endpoint status -w table
<<COMMENT
+-----------------+------------------+------------+-----------------+---------+--------+-----------+
|    ENDPOINT     |        ID        |  VERSION   | STORAGE VERSION | DB SIZE | LEADER | RAFT TERM |
+-----------------+------------------+------------+-----------------+---------+--------+-----------+
|  localhost:2379 | 7339c4e5e833c029 | 3.7.0-rc.0 |           3.6.0 |   98 kB |  false |         3 |
| localhost:22379 | 729934363faa4a24 |     3.6.12 |           3.6.0 |   98 kB |  false |         3 |
| localhost:32379 |  b548c2511513015 |     3.6.12 |           3.6.0 |   98 kB |   true |         3 |
+-----------------+------------------+------------+-----------------+---------+--------+-----------+
COMMENT

クラスター全体のアップグレードが完了するまでは、未アップグレードのメンバーとアップグレード済みのメンバーに、バージョンの混在状態に関するメッセージが記録されます。これは想定された動作で、すべてのetcdクラスターメンバーをv3.7にアップグレードすると表示されなくなります。

手順5:残りのメンバーで手順3と手順4を繰り返す

すべてのメンバーのアップグレードが完了すると、クラスターはv3.7へのアップグレードが成功したことを報告します。

{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:02:36.054783+0300","caller":"etcdserver/server.go:2311","msg":"updating cluster version using v3 API","from":"3.6","to":"3.7"}

{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:02:36.059345+0300","caller":"membership/cluster.go:593","msg":"updated cluster version","cluster-id":"7dee9ba76d59ed53","local-member-id":"7339c4e5e833c029","from":"3.6","to":"3.7"}

{"level":"info","ts":"2026-06-02T07:02:36.059409+0300","caller":"etcdserver/server.go:2326","msg":"cluster version is updated","cluster-version":"3.7"}

etcdctl --endpoints=localhost:2379,localhost:22379,localhost:32379 endpoint health
<<COMMENT
localhost:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 550.833µs
localhost:32379 is healthy: successfully committed proposal: took = 733.458µs
localhost:22379 is healthy: successfully committed proposal: took = 714.416µs
COMMENT

curl http://localhost:2379/version
<<COMMENT
{"etcdserver":"3.7.0-rc.0","etcdcluster":"3.7.0","storage":"3.7.0"}
COMMENT

curl http://localhost:22379/version
<<COMMENT
{"etcdserver":"3.7.0-rc.0","etcdcluster":"3.7.0","storage":"3.7.0"}
COMMENT

curl http://localhost:32379/version
<<COMMENT
{"etcdserver":"3.7.0-rc.0","etcdcluster":"3.7.0","storage":"3.7.0"}
COMMENT